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東日本大震災の教訓を活かす

東日本大震災の教訓を活かす

平成23年9月定例会(本会議)-9月28日

◆17番(弘瀬源悟)
 初めに、地域コミュニティについてお尋ねします。東日本大震災を契機に、人と人との支え合いを意味する絆という言葉に共感を覚える日本人が増えたと感じます。家族のつながりが再認識され、結婚意識が高まったことも報道されております。今、多くの市民が地域コミュニティの必要性を感じている、あるいは求めているのではないでしょうか。私たちの会派は先月、中越沖地震で大きな被害を受けた柏崎市を視察しました。同市では、世帯数を基準とした自主防災組織の組織率が地震以前は約41パーセントであったものが、地震後3年間で飛躍的に向上し、平成23年6月末時点では97.3パーセントに達しております。
 一方、本市では、自治会加入率が年々低下しており、コミュニティ政策室を中心に、さまざまな施策で地域コミュニティの再生に取り組んでおりますが、今こそ、防災をキーワードとした啓発が有効ではないかと私は考えます。この点について、理事者の見解をお聞かせください。
 次に、建物の耐震化についてお尋ねします。平成19年度に策定された豊中市住宅・建築物耐震改修促進計画は、阪神・淡路大震災での死者5,502人のうち、約9割が建物の倒壊が原因であったことを教訓とした防災計画であり、地震による家屋倒壊から人命を守る直接の効果とともに、地震直後の人命救助の妨げとなるがれきの発生抑制にもつながる重要な施策であると考えます。同計画の目標は、平成27年度までの8年間で、民間住宅4,300戸の耐震化を実現することであり、耐震診断や耐震改修への補助金制度などの施策で目標達成をめざすもので、今年度は計画開始から4年目の折返し地点となります。
 そこでお尋ねします。目標達成に向けた現在までの取組みと進捗状況をお聞かせください。
 次に、防災の観点から、上下水道局に2点、お尋ねします。
 1点目、水道水源としての自己水の維持についてお尋ねします。とよなか水未来構想は、平成22年度の第2期実行計画において、本市独自の水源である自己水を将来的には廃止としましたが、私はこれに異議を唱え、委員会や本会議で繰り返し見直しを求めてまいりました。その最大の理由は、本市の水道水源の約9割が淀川を水源とする大阪広域水道企業団から供給を受けており、地震による送水管の損傷や事故やテロによる水質事故によって、淀川からの取水が制約された場合でも、豊中市民の生命を維持する飲料水を確保するためには、自己水は必要不可欠と考えたためです。本年度公表された同構想の第3期実行計画では、平成32年度までは自己水を維持することが明記され、一定の評価をさせていただくものですが、東日本大震災の教訓から、私が懸念した淀川の水質事故について、放射能汚染という新たなリスクが生まれました。このことも踏まえ、私は将来にわたって自己水は維持するべきと考えます。理事者の見解をお聞かせください。
 2点目、災害派遣の教訓についてお尋ねします。東日本大震災では、豊中市からさまざまな支援が行われ、上下水道局からも多くの職員が現場に派遣されております。ふだんは上下水道の維持管理等に従事している職員の皆様が被災地の復旧作業に携わる中で、専門職として感じたさまざまな事柄の中には、本市の上下水道システムの弱点への気付きがあったのではないかと考えます。
 そこでお尋ねします。上下水道局が被災地に派遣した職員の皆様から、技術的な視点で自由に意見を出し合っていただくことが有意義と考えますが、このことについて見解をお聞かせください。
 次に、学校における防災についてお尋ねします。東日本大震災では、学校現場でも大きな犠牲が出ております。宮城県石巻市の大川小学校では、全校児童108人のうち、69人が亡くなりました。この大川小学校の悲劇の原因は、今後さまざまな検証がなされると思われますが、教育委員会が指示していた高台の避難所を学校が決めていなかったために、校庭に集合した児童の避難開始がおくれ、避難途中に津波に巻き込まれたとの報道があります。一方、岩手県では、地震発生時に釜石市立の14の小・中学校の校内にいた児童生徒約3,000人全員が無事であり、釜石の奇跡として注目をされております。この子どもたちの命を津波から守った要因は、学校における防災教育の成果であったと言われております。
 そこでお尋ねします。本市の小・中学校における防災教育の計画と実態、教育委員会でのチェック体制と評価についてお聞かせください。
 以上で、1問目を終わります。

◎市民協働部長(松田泰郎)
 地域コミュニティについてのご質問にお答えいたします。東日本大震災を機に、災害時には身近なお隣近所の支え合いが大きな力を発揮することが改めて認識され、日常生活における近所付合いを深め、住民同士が日ごろから自然に支え合える関係をつくっている自治会活動の大切さが見直されております。
 しかしながら、本市における自治会加入率は、平成21年度に50パーセントを下回り、平成23年度には48.1パーセントとなりました。その大きな要因といたしましては、少子高齢化やIT化の進展、個人情報保護のあり方の影響などを受けた近隣関係の希薄化が考えられております。そのため、自治会加入率の向上に向けた取組みでは、人と人とのつながりの再構築を促すことが必要となります。
 ご提案いただきました防災をキーワードとした啓発は、これまで地域に関心のなかった方や自治会に加入されていなかった方にも、地域コミュニティの基礎である自治会の大切さを伝えることのできる効果的な取組みになるものと考えられます。したがいまして、今後、防災を切り口とした自治会への加入を呼びかけるチラシなどを作成し、自治会自らの勧誘活動にもご利用いただけるような啓発を行い、自治会加入率の向上に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

◎都市計画推進部長(半田政明)
 都市計画推進部に関わる建物の耐震化についてのご質問にお答えいたします。豊中市住宅・建築物耐震改修促進計画の目標達成に向けまして、「広報とよなか」や市のホームページへの掲載、また木造住宅耐震相談コーナーの実施などで、市民の方々への啓発を行うとともに、平成9年度からすでに実施している民間建築物耐震診断補助制度に加え、平成20年度からは木造住宅耐震改修補助制度を実施しているところであります。平成20年度から平成22年度までの3年間の累計で、木造住宅耐震診断補助につきましては135戸、木造住宅耐震改修補助につきましては35戸を実施いたしました。促進計画では、今年度を中間目標年次に設定しておりますので、住宅、特定建築物、市有建築物それぞれの耐震化率を算定することで、進捗状況を把握する予定でございます。よろしくお願いいたします。

◎上下水道局技術部長(入川理)
 上下水道局に関する2点のご質問についてお答えいたします。
 まず1点目の自己水の維持についてでありますが、猪名川を水源といたします自己水につきましては、施設の老朽化や河川の状態、費用面など多角的な観点から検討を行い、将来的には廃止するという方向性を平成21年度にお示ししたところであります。しかしながら、自己水の製造単価は大阪広域水道企業団、当時の大阪府営水道からの受水単価に比べて安いことから、できるだけ自己水施設を有効に活用できるよう、延命化に向けた対策を講じていきたいと考えております。
 一方で、東日本大震災や今月初めに近畿地方を襲った台風12号では、水源の被害により長期間の断水を強いられるなど、多大な影響を及ぼしました。こうしたことから、改めて水源の複数化が再認識されているところであります。
 また、現在大阪府では、府域水道の整備に関する基本構想を作成中であり、その中で、水源を淀川に大きく依存している府域水道の実情を踏まえ、今後は市町村の枠を超えた、自己水の連携の構築に取り組むことが示される見込みであります。
 このような状況を踏まえ、本市単独では自己水を廃止する方向性を示しましたが、今後は府域全体で見た場合の自己水のあり方について、大阪府を中心に企業団及び市町村とが一体となって検討していくものと考えております。
 次に、2点目の災害派遣の教訓についてでありますが、このたびの東日本大震災による災害支援に伴い、水道におきましては、日本水道協会の大阪府支部長として、府内の水道事業体の派遣調整を行うとともに、豊中市としては応急給水活動を行うため、3月16日から6月15日までの3か月間、岩手県に53人の職員を派遣いたしました。また、下水道におきましては、下水道管渠の被害調査を行うため、4月1日から4月8日までの8日間、宮城県に4人の職員を派遣し、上下水道局といたしましては、合計57人の職員を派遣してまいりました。
 こうした多くの職員が長期間にわたりまして支援活動を行ってきておりますことから、技術的な視点を含めまして、さまざまな観点からの意見等がございますので、今回の災害支援を総括する中で、派遣した職員からの貴重な意見を集約し、今後の災害時対応に生かしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

◎教育推進部長(渡辺浩)
 ご質問のうち、学校における防災について、お答えいたします。
 各小・中学校では、将来を担う子どもたちが自他の生命尊重の理念に基づき、安全を最優先した行動をとることができるよう、防災教育を教育計画に位置付け、組織的、計画的に実施しております。避難訓練につきましては年2回から3回、火災、風水害、地震などについて、ビデオや講話により学んだ後、具体的な場面を想定し、取り組んでおります。1学期には火災を想定した避難訓練や消火訓練、2学期には台風に備えた地区別下校、3学期には地震や火災の避難訓練を多くの学校が行っております。
 学校安全計画は、平成21年度より学校保健安全法において各学校で策定、実施し、また豊中市立小学校、中学校及び幼稚園の管理運営に関する規則において、教育委員会に報告しなければならないことになっております。教育委員会でのチェック体制と評価につきましては、提出された学校安全計画をもとに、実施時期やマニュアル等を点検するとともに、実施については、各学校で法令に基づいて適切に行われているところでございます。さらに、文部科学省や大阪府教育委員会、地域消防署等関係機関との連携を図りながら、学校現場において活用できる資料や教材の提供、又は提示により、防災教育の充実に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

◆17番(弘瀬源悟)
 建物の耐震化についてのみ、2問目を行います。豊中市住宅・建築物耐震改修促進計画の目標達成に向けて、都市計画推進部を中心にさまざまな取組みがなされていることは理解しますが、結果として4,300戸の耐震化目標に対する耐震改修補助制度の利用実績が3年間で35戸であること、そして、平成21年度と22年度の同制度予算執行率が4割前後にとどまっていることを見ると、新たな施策によってインセンティブを与え、耐震改修の加速が必要と考えます。同様の問題意識に基づくと思われますが、本年度大阪府では、まちまるごと耐震化支援事業を開始し、府内の市町村に参加を呼びかけていると仄聞しております。当該事業の制度内容についてお聞かせください。また、当該事業への参加も含め、耐震化を促進するための今後の方向性についてお聞かせください。
 以上で、2問目を終わります。

◎都市計画推進部長(半田政明)
 建物の耐震化についての再度のご質問についてお答えいたします。大阪府が今年度から実施しているまちまるごと耐震化支援事業ですが、これは大阪府が耐震診断の実績の有無など、一定の基準を満たす事業者を登録し、事業を実施する地域の方々が市町村のサポートを受けながら登録事業者の中から実施事業者の選定を行い、選定された事業者がその地域に入り、出張説明会など事業を展開するものでございます。豊中市といたしましては、今年度実施している促進計画の中間検証の結果を踏まえて、今後の方策を具体化していくこととしております。その中で、まちまるごと耐震化支援事業についても検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。

◆17番(弘瀬源悟) 3問目は全て意見、要望です。
 初めに、地域コミュニティについて。東日本大震災では、想像を絶する大地震と大津波の襲来から、九死に一生を得た体験の多くに、家族や近隣住民のとっさの助合いがあったこと、さらに、通信・水道・電気・ガス等のライフラインが断たれたままの数日間から数週間、被災者の方々の命をつないだ大きな力も、日常生活圏に存在する地縁や地域の共同体の支え合いであったこと等が報道されております。また、自ら被災し、家族を亡くされ、家や財産を失いながら、手元のわずかな食糧等を惜しまず分かち合い、他者の救援や生活再建のために奮闘する被災者の姿が報道されており、多くの市民が感動したことと思います。これらのトピックスを1つの啓発チラシとしてまとめ、自治会加入率の向上に役立てることが極めて有効であると思います。家族や地域コミュニティの再生は、災害対策のみならず、少子化や孤独死、児童虐待などの幅広い福祉課題の解決にも有効と考えます。市民協働部を中心とする関係各部局の力強い推進を、強く要望いたします。
 次に、建物の耐震化についてですが、豊中市住宅・建築物耐震改修促進計画には、上町断層帯地震等の想定建物被害率が図示されておりますが、その被害率には、地域によって濃淡が見られます。現在の耐震診断や改修の補助制度は、昭和56年以前の民間木造住宅全てを対象として啓発等を実施しておりますが、減災効果を高めるためには、例えば建物被害率50パーセント以上の地域への重点的啓発が必要と考えます。大阪府のまちまるごと耐震化支援事業を利用すれば、住宅街の一角をまとめて耐震化ができ、効率的な減災効果を得ることも可能です。私は、平成21年10月の建設水道常任委員会で、国や大阪府の制度変更に敏感に反応することを提案しましたが、この大阪府の新しい事業に豊中市が参画することを要望します。
 次に、上下水道局については、1点目の水道水源としての自己水の維持について、前向きな答弁をいただきました。東日本大震災や先日の台風12号災害においても、水道を含むライフラインの脆弱性が指摘されております。水源の複数化は重要な減災対策です。豊中市が取水権を持つ猪名川の貴重な自己水の維持と活用を大阪広域水道企業団と一体となって検討をしていただくよう、強く強く要望いたします。
 2点目の災害派遣の教訓につきましては、派遣された職員の皆様に感謝申し上げるとともに、ぜひ技術的な視点での意見聴取を行い、できれば、とよなか水未来構想の次期実行計画に反映し、災害に対して強靭な上下水道システム構築に役立てていただくことを要望いたします。
 次に、学校における防災について、大川小学校の悲劇は、教職員が適切な誘導をすれば助かったかもしれない命、釜石の奇跡は、教職員の誘導がなくても児童生徒が自らの判断で行動して助かった命、学校における防災教育のあり方について、大きな教訓を残しました。私は先月、石巻市でヘドロ除去ボランティアに参加した際に、大川小学校を見下ろす高台に立ちました。そこは小学生が避難地としてめざし、たどりつけなかった高台です。犠牲となった多くの子どもたちの魂に手を合わせながら、この教訓を豊中市の防災教育に生かすことを私は誓いました。教育委員会と学校現場での防災教育の充実を心からお願いいたします。あわせて、地域で開催される防災訓練への児童生徒の参加推進を提案いたします。
 以上、4項目5テーマについて防災の観点から質疑・意見を行いました。私は、東日本大震災から導き出される膨大な教訓の1つ1つを現在の豊中市の防災計画に引き当てて、丁寧に検証する必要があると思います。特に、本年度は大いに議論をしたいと決意しておりますので、理事者の皆様、今後ともよろしくお願いをいたします。

平成24年3月定例会(本会議)-3月5日
◆36番(平田明善)
防災についてお尋ねいたします。東日本大震災からまもなく1年となります。常任委員会開会中に大きくゆったりとしためまいのような揺れを感じ、その直後からテレビで放映される東日本の沿岸部を襲う津波の映像は、事実として受け入れがたいものでしたが、現実には死者・行方不明者合わせて約1万9,200人という、大きな犠牲を出した大災害となりました。政府の中央防災会議は昨年12月27日、国の防災対策の基礎となる防災基本計画に津波災害対策編を新設するなど、内容を大幅に修正することを決めました。東日本大震災を教訓に、地震・津波対策を抜本的に見直し、住民が迅速に避難できる災害に強いまちづくりを進めるものです。
 津波対策はこれまで、震災対策編の特記事項に位置付けられ、記述は2ページに満たない程度でしたが、新設した津波対策編の分量は60ページ、あらゆる可能性を考慮した最大級の津波を想定し、津波ハザードマップの作成、地震発生から5分程度で逃げられる避難路や津波避難ビルの整備、土地利用のあり方の検討など、防災対策を推進するよう求めています。そして、震災を含め、最近の災害を踏まえた防災対策の見直しも計画に反映させ、避難所における生活環境の改善や市町村が避難勧告などを的確に発令できるよう、警報の伝達方法をあらかじめ検討しておくことなどが盛り込まれました。また、地域の防災力向上を図るため、防災に関する政策・方針決定過程及び防災の現場における女性の参画の拡大などが必要と明記され、避難所における女性ニーズへの配慮なども盛り込まれました。
 この防災基本計画を本市の防災対策に反映する必要がありますが、災害対策基本法の規定により、本市の地域防災計画は大阪府地域防災計画に抵触してはならないため、府の修正版が発行された後に、豊中市地域防災計画が修正される予定と理解しております。
 そこでお尋ねしますが、今後のスケジュールと予測される修正の概要をお聞かせください。
 さて、東日本大震災後の1年間、台風12号や15号の災害も含め、政府や研究機関、防災の専門家などが種々さまざまな検証を行い、マスコミ等を通じて、私たちに膨大な教訓が提供されています。我が会派は、災害に強い豊中市をめざし、本会議や常任委員会での質疑等、機会あるごとに大震災などの教訓を豊中市の防災に生かすための質問と提案を繰り返してまいりました。市長も昨年12月議会本会議の答弁の中で、教訓を豊中市の防災力向上に生かす決意を表明されました。
 そこで、我が会派の提案が平成24年度の施策にどのように反映されているのか、お尋ねいたします。
 具体的には、危機管理室関連で。
 1点目、行政からの避難勧告等の災害情報をすばやく確実に、より多くの市民に知らせる伝達方法の改善。
 2点目、想定外の降雨時にも、市民に的確な情報を提供できるハザードマップの作成。
 3点目、災害発生時に大きな力となる自主防災組織への財政的支援制度の創設。
 4点目、国の補助事業を積極的に活用し、自家発電設備の設置等、学校の防災機能整備に取り組むこと。
 5点目、大規模災害発生時に、罹災証明書発行や義援金支給など、被災された市民の生活再建に向けた支援を迅速に行うための被災者支援システムの導入。
 地域コミュニティ関連で。大震災で注目された地域社会のきずなを取り上げた啓発資料を作成・活用した自治会加入率向上への取組み。
 都市計画関連で。大阪府のまちまるごと耐震化支援事業を活用した建物被害率50パーセント以上の地域への重点的啓発による減災。
 ライフライン関連で。
 1点目、広域災害時の飲料水供給を担保する複数水道水源としての自己水維持の検討、特に広域水道企業団での検討内容。
 2点目、被災地に派遣された上下水道局職員の意見を集約し、教訓として豊中市の上下水道システム防災力向上を図ることと、その結果としてのとよなか水未来構想への反映。
 教育関連で。釜石の奇跡等から学ぶ、子どもの命を守るための学校における防災教育の充実と地域で開催される防災訓練への児童生徒の参加促進。
 市職員全般に関して。災害の初期対応において、避難誘導や救助に当たる消防署員、消防団員をはじめとする公務員の生命を守るための訓練と装備の充実。
 以上について、理事者のご見解をお聞かせください。
 引き続き、防災・減災に関して、新たな視点から何点かお尋ねいたします。
 1点目は、高齢者施設における防災対策についてであります。厚生労働省によると、東日本大震災により、岩手・宮城・福島3県で介護施設52か所が全半壊し、約490人の入居者が死亡・行方不明となっております。一方、同地域で被災した保育所は700を超え、建物被害が大きいにも関わらず、施設で保育中の乳幼児が亡くなったのは、1施設の3人、保育所には児童福祉施設最低基準により、毎月1回の避難及び消火訓練が義務付けられており、事前の備えが人的被害の抑制につながったと評価されております。
 この教訓から、高齢者入居施設での防災訓練の重要性が指摘されておりますが、豊中市内の施設での防災訓練の実態と今後の取組みについてお聞かせください。
 2点目は、帰宅困難者の問題です。東日本大震災では、電車がとまるなどして保護者が帰宅できなくなり、下校した子が自宅で子どもだけで一夜を過ごすケースが相次ぎました。多くの学校でこうした事態を想定せず、災害時の下校基準も定めていなかったためであり、本市においても対策を強化する必要があると考えますが、現状と今後の取組みについてお聞かせください。
 3点目は、女性の視点を生かした防災対策についてです。国の新たな防災基本計画では、一番重要な総則の中に、地域の防災力向上を図るため、防災に関する政策・方針決定過程及び防災の現場における女性の参画の拡大などが必要と明記されました。さらに、避難所における女性ニーズへの配慮なども盛り込まれました。災害によって命を失うのは、女性が男性より多く、大規模な災害ほど格差は大きくなると言われております。また、ひとたび災害が起こると、女性が生活上の不自由や過度な負担を強いられるような状況が生じるだけでなく、人権や尊厳が脅かされる危険性が増すと言われております。
 しかし、その一方で、女性が本来持っている防災に貢献する力や復興に貢献する力にもっと着目して、対策に反映すべきとの認識も高まっております。
 そこでお尋ねいたします。昨年の12月議会において、豊中市防災会議に女性委員枠を積極的に設けるべきと質問いたしました。その後の検討状況をお聞かせください。また、防災対策に女性の意見を取り入れ、災害時の担い手として、その資質や能力が発揮できるよう、今回の改訂を受け、本市はどのように地域防災計画を進めていかれるのか、お聞かせください。

◎危機管理監(鈴木敏行)
 防災対策のうち、危機管理室に関わります8点についてお答えいたします。
 まず地域防災計画の改訂についてでございますが、国の中央防災会議においては、地震・津波対策の抜本的強化や津波災害対策編の新設などを盛り込みまして、昨年12月に防災基本計画の修正が行われたところであります。また、大阪府におきましても、この内容を踏まえるとともに、東日本大震災等を教訓に、府の防災対策の総点検を行い、大阪府地域防災計画をこの3月に修正する予定となっております。大阪府は地域防災計画におけます新たな防災対策として、被災者ニーズを踏まえた避難収容や緊急物資確保体制の構築、また市民による防災力向上の取組み促進、市民への災害知識の普及や防災教育の充実といった方向性を示していることから、本市においてもこうした内容も踏まえ、平成24年度中に地域防災計画の改訂を行う予定としております。
 あわせまして、危機管理対策支援システムやとよなか移動及び同報通信システム、また豊中市地区防災圏自主防災活動支援事業など、市独自で行っている新たな防災対策についても計画に反映させてまいります。なお、津波につきましては、平成24年度国から公表されます南海トラフの巨大地震に係る被害想定を受けまして、大阪府においては、次年度中に津波浸水シミュレーションや被害想定を行い、その結果を盛り込み、平成25年春ごろには、府の地域防災計画を修正する予定となっておりますことから、本市におきましては、これらを踏まえまして、平成25年度中に必要な改訂を行うことになるものと考えております。
 続きまして、平成24年度施策にかかります5点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害情報の伝達方法の改善についてでございますが、災害発生時に緊急情報などを伝達するとよなか同報通信システムの拡声子局は、現在全小学校及び広域避難地の43か所に設置をしてございますが、新たに国の補助事業を活用いたしまして、中学校を中心に16か所の増設を行うことといたしました。また、緊急情報をすばやく、より広く伝達するため、携帯各社が提供いたします緊急速報メール(エリアメール)の導入を行い、2月からはNTTドコモ、3月からはau、ソフトバンクにおけますサービス利用を開始したところでございます。今後ともさまざまな媒体を活用し、情報伝達ツールの充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、ハザードマップでございますが、平成23年度事業といたしまして、新たに避難勧告等発令時の情報伝達方法や地域ごとの避難方法など情報を盛り込みました市民啓発用冊子の作成に現在取り組んでいるところでございます。今後は、この冊子をハザードマップとあわせまして活用し、大雨等による河川の氾濫時において、市民が安全に的確な避難行動をとれるよう、平時より対象区域への住民の説明、周知等啓発を進めてまいります。また、下水道の氾濫を想定いたしました内水ハザードマップにつきましては、その作成に向けまして、浸水被害想定や下水道整備計画などをはじめとした前提条件について、上下水道局との間で具体の検討を始めたところでございます。
 次に、自主防災組織への財政的支援についてでございますが、平成22年度から2か年にわたりまして、大阪府の補助金制度を活用いたしまして、小学校区単位で行われる自主防災活動への支援を行ってまいりましたが、それぞれの校区では、自主防災組織をはじめ、校区内にございます諸団体が連携しながら、特色あるさまざまな取組みを進めていただいております。今後、これらの取組みを継続・発展させまして、更なる自主防災活動の促進と継続支援を行っていくために、豊中市独自で新たな補助金制度を創設し、引き続き小学校区単位における自主防災活動への支援を通した地域防災力の向上をめざすことといたしました。
 次に、学校における防災機能の整備につきましては、災害発生時、広域停電した場合の電力供給は、市民の生活を支える上で必要不可欠でございますことから、国の補助金を活用いたしまして、全小中学校及び福祉避難所あわせて73か所に発電機を配置し、避難所の非常用電源の整備を行ってまいります。
 5点目の被災者支援システムでございますが、兵庫県西宮市が開発いたしまして、地方自治体情報センターを通じて全国の自治体に提供されているシステムをベースとして開発を行うもので、大規模災害時に膨大な量が想定されます罹災証明書の発行には、住民基本台帳や家屋台帳の確認作業また被害認定調査結果の整理が必要となりますことから、こうした作業をより効率的に行い、一日も早い被災者の生活再建につなげるものでございます。
 次に、災害発生時におけます職員の初期対応についてお答えいたします。本年1月、首長以下全職員のおよそ4分の1に当たる命が失われ、新たな首長が選出されるまでの間、町長の職務代理者として震災対応の先頭に立たれた岩手県大槌町の平野総務部長をお招きしまして、職員に対して震災の経験や教訓をお話しいただきました。その中で、庁舎をはじめとするハードウェアのほか、災害の初期対応や復旧に向けて欠かせない情報資源などのソフトウェアほか、全てが壊滅的な被害を受けましたが、何よりも職員の安全安心を確保できず、結果、災害対応に当たる多くの職員を失ったことが、その後の復旧に向けて最も大きかったこと、そのため、自分の命は家族や住民のためにもあるということを認識しながら、災害においてはどんな形でも、まず自分の命を守ること、そして、そのことが行政の麻痺をなくし、更にはその後、息の長い取組みとなる復旧・復興のための力になること、また職員の安全・安心を確保し、職員の家族も大切にするような防災のあり方がおのずとまち全体の防災につながるとおっしゃっておられました。
 本市におきましては、災害発生時におきまして、対応に当たる職員の安全の確保や初動期におけます24時間体制の対応なども含めまして、職員個人及び組織それぞれが的確な対応を行いますよう、現在策定に向けて取り組んでいる各部災害対応マニュアルや業務継続計画を活用いたしました研修や訓練を通して、災害発生時の行動ノウハウを蓄積するなど、平常時から災害対応要員としての意識の醸成に努めてまいります。
 最後に、女性の視点を生かした防災対策についてでございますが、災害発生時には、女性や災害時要援護者等全ての人が生活しやすい環境をつくっていくことが不可欠であると認識しているところではございますが、今回の東日本大震災では、災害時に援護を必要とする立場にある人たちのニーズが支援者や周囲の人たちに十分に届かずに、避難所生活等におきましてさまざまな困難が生じたり、生活しづらい状況がございました。こうした教訓を受けまして、昨年12月に改正されました国の防災基本計画では、新たに避難所運営における女性の参画の促進や女性や子育て家庭のニーズへの配慮が盛り込まれましたことからも、本市地域防災計画におきましてもこれらを踏まえまして、さまざまな視点からの点検を行いながら改訂作業を進めてまいります。また、防災会議につきましては、女性の視点からのご意見をいただけますよう、今後委員改選の際には、各機関に対し、女性の参画について配慮いただけますよう、働きかけてまいりますとともに、新たな関係団体等からの委員選出も検討しているところでございますので、よろしくお願いいたします。

◎上下水道局技術部長(入川理)
 防災へのご質問のうち、ライフラインに関してのご質問にお答えいたします。
 1点目の自己水維持の検討についてでありますが、猪名川を水源とします総給水量の約1割を占める自己水につきましては、経済性や構造的な問題から抜本的な更新は難しく、将来的に廃止する方向性を打ち出しました。その後、府域全体で見た場合の地域自己水のあり方について、大阪府を中心に大阪広域水道企業団と市町村とで検討していくことになり、現在、大阪府と大阪広域水道企業団それぞれにおきまして、策定中のマスタープランの中で地域自己水の活用、連携について、具体的に示される予定になっております。今後はこのマスタープランに基づき、地域自己水のあり方について検討していくものと考えております。
 なお、このことを踏まえまして、とよなか水未来構想における自己水の取組みについて見直しを図る予定にしております。
 2点目の上下水道システムの防災力の向上についてでありますが、上下水道局の総合計画となりますとよなか水未来構想では、計画策定当初から施設の耐震化、応急給水対策、風水害対策、テロ対策などを想定した災害対策の大綱を示しており、具体的な行動につきましては、実行計画で取り組んでいくこととしております。
 一方、被災地に支援活動に行った職員からの意見を現在、集約・分析し、支援活動の総括を取りまとめており、この総括や今回の支援活動で得た派遣体制や受入れ体制の難しさといった教訓などを生かしながら、実行計画や災害対応マニュアルなどに反映させてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

◎消防長(谷口伸夫)
 消防本部に関わりますご質問にお答えいたします。
 初めに、防災についてのご質問のうち、当本部に関します部分についてお答えいたします。市民に対する避難誘導や救助に当たる消防の装備でございますが、東日本大震災におきまして、多くの消防団員が自らの危険を顧みず、避難の呼びかけや水門閉鎖などの作業に従事する中で津波により犠牲となられたことにかんがみ、消防団員のこれらの活動における安全確保を図るため、本年度の国の第3次補正に伴う補助金を活用し、ライフジャケットなどの水災用資機材や投光器などの夜間活動資機材を一定量整備するものでございます。
 今後におきましても、消防職団員が自らの危険を回避しながら、安全に活動するための研修を実施するとともに、新たな大阪府地域防災計画を踏まえ、これに必要な装備の計画的な整備に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

◎市民協働部長(松田泰郎)
 ご質問のうち、市民協働部に係る事項についてお答えいたします。
 まず、防災についてのご質問のうち、自治会加入率向上への取組みについてですが、昨年の大震災を契機に、防災、減災の取組みに加え、日ごろからの交流や支え合いによって生まれる地域社会のきずなの大切さが再認識されたところでございます。このことから、自治会加入率向上への取組みといたしまして、市民の皆さんの関心の高い防災をキーワードに、自治会活動を通じてはぐくまれる地域社会のきずなの大切さを伝え、これまで地域に関心がなかったり、自治会に加入しておられない方々に加入を呼びかける記事を「広報とよなか」に掲載する予定でございます。また、同様のチラシを作成し、転入者等に配布するなどの準備を進めております。さらに、自治会に対しましても、自治会が果たしている役割を防災の視点からアピールする勧誘用のチラシのひな型をつくって提供したり、勧誘活動の具体的な相談に応じたりするなど、地域の状況にあわせた支援を柔軟に行ってまいります。

◎都市計画推進部長(半田政明)
 ご質問のうち、都市計画推進部に関わる防災のご質問にお答えいたします。
 防災についてでございますが、現在行っております民間住宅の耐震診断・改修に関する各種の支援策を更に促進するための方法として、民間の力を活用したまち単位での耐震化に取り組む、大阪府のまちまるごと耐震化支援事業を平成24年度導入に向け、準備を進めているところでございます。実施地区の選定につきましては、自治会等の協力が不可欠なことから、防災意識が高い、耐震性の低い住宅が集積しているところなどの要因を考慮し、慎重に選定してまいりたいと考えております。

◎教育推進部長(渡辺浩)
 防災についてのご質問についてお答えいたします。
 東日本大震災の教訓を生かすため、想定外の自然災害への対応、津波を含め、災害に応じた避難経路や避難場所、避難方法、下校方法等見直し、PTA保護者や関係機関の意見を聴き取りながら、緊急対応マニュアルを検討しております。地域防災訓練につきましては、関係機関や地域の自主防災組織と連携しながら、児童生徒の参加促進を考えてまいります。
 次に、帰宅困難者の問題について、現状では地震規模や災害状況に応じて、一斉下校、町別下校、学年別下校など下校措置を行う、又は保護者の引取りがあるまで学校で待機する、保護者と引渡し方法について確認している等ございます。保護者が帰宅困難になる場合を想定して、引渡し緊急連絡カードの作成や引取り者が来られるまで学校にとめおきすることなど、緊急対応マニュアル作成の中で検討を進めてまいります。また、学校における学校安全計画を把握し、指導してまいりますので、よろしくお願いいたします。

◎健康福祉部長(長内繁樹)
 まず、防災についてのご質問のうち、高齢者施設に関する防災訓練についてのご質問にお答えいたします。国が定める特別養護老人ホーム等の運営基準には、非常災害対策に関する重要事項を施設運営規定に定めること、また非常災害に関する計画を立て、定期的に避難、救出、その他必要な訓練を行わなければならないことが規定されております。施設によって訓練の実施回数に違いはありますが、年間2回以上、昼間時と夜間時に分けて実施しています。また、災害があった場合に備え、施設では関係機関との連携や備蓄品の管理や運営推進会議などを通して地域との協力体制づくりを行い、避難経路や緊急時の職員参集時間などを適時確認しています。本市では、これまで地域密着型サービス事業者の集団指導の際に防災についての講演を行っており、平成24年度からは中核市移行に伴い、指導・監査業務が府から移譲されますので、非常災害対策については重点指導項目の1つとして、施設職員の防災に対する意識をより高め、いつ災害が起こっても全ての施設で迅速かつ適切な対応ができるよう必要な指導を行い、強化を図ってまいります。

◆36番(平田明善)
防災については、意見要望といたします。
 エリアメールの導入による災害伝達方法の改善、ハザードマップの改定、自主防災組織への財政的支援制度の創設、国の補助事業を活用した学校等への自家発電設備の設置、被災者支援システムの導入など、防災対策が着実に前進することを高く評価するものです。自治会加入率向上は、防災、減災のみならず、孤独死、孤立死の防止など、福祉課題の解決にも有効です。大震災で注目された地域社会のきずななどを取り上げた啓発資料を作成し、自治会加入率向上に向けた積極的な取組みを強く要望いたします。
 大阪府の耐震化支援事業を活用した建物被害率低減の取組みは、関係職員による積極的な啓発が必要不可欠です。不燃領域率向上への取組みとあわせて、災害に強いまちづくりの取組みを強く要望いたします。
 大阪広域水道企業団での自己水活用の検討は、ライフラインを守る第一歩として評価します。被災地に派遣された上下水道局職員の意見をはじめ、さまざまな教訓をとよなか水未来構想・実行計画への反映に期待いたします。
 子どもの命を守るための学校における防災教育の充実については、保護者が帰宅困難となるケースも含め、計画と実施と課題抽出など、学校と教育委員会の連携が重要と考えます。積極的な取組みを要望いたします。災害の初期対応において、避難誘導や救助に当たる消防署員、消防団員をはじめとする公務員の生命を守るための装備の充実については、補正予算で一歩前進が図られました。今後もさまざまな研修を通して、充実することを要望いたします。
 高齢者入所施設での防災訓練は、中核市移行を機会に充実を図る努力を要望いたします。
 女性の視点を生かした防災対策について、豊中市防災会議への女性の参画については、前向きな答弁をいただきました。引き続き、検討をお願いいたします。また、豊中市災害対策本部への女性の参画を提案いたします。
 以上の視点も含め、平成24年度中に予定されている豊中市地域防災計画の改訂については、豊中市の全ての部局が当事者意識を持って、東日本大震災から導き出されるさまざまな教訓を反映することが重要であります。市民の命を守る決意で、防災力世界一宣言をめざして、関係各位のご努力を強く要望いたします。

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